「年寄りの絵見て何が楽しいのさ?」
ティアナの柔らかい髪の毛をいじりながら問い掛ける。
「楽しいというか、感動というか…」
技術的にすごいなとも思ったし、自分もおばあちゃんになったらこんな上品さが欲しいとも感じた。
(あれ?そういえば…)
そこでふと、気がついた。
(アンドラス達って、歳とらないの?)
出会った頃から変わらない姿。
自分ばかり成長していく。
「ねえ、アンドラスは歳とらないの?」
するとオセーが近寄ってきて教え子の質問に答えた。
「悪魔には年齢という概念がないのだ」
「というより成長って概念がないんじゃない?創造された時からこんな感じ」
成長しないと聞かされて驚くティアナ。
「だから、時と共に変化していく人間のつくりに憧れたりする。生きながら変わっていくなんて、面白そうでしょ?」
アンドラスが言った「憧れ」がティアナには当たり前なため、何て返事を返すべきか迷う。
「しかし、我が輩は年寄りという生き物は好かんな」
「うん。僕も成長には興味あるけど爺にはなりたくないね」