十五分ほどで床を掃き終え、家具の埃をはたきにかかる。

ティアナはこの部屋に置かれた衣装ダンスや長持ちに興味をひかれ、掃除ついでに開けてみた。

衣装ダンスには男物の上着や靴などがしまってあった。

「男の人の部屋だったのかな?」

あまり面白いものがないのでタンスを閉じて、長持ちへ。

「あう~、埃っぽい…」

長持ちの蓋を持ち上げながら感想を述べる。

開けてみると、そこには古びた箱と絵画、そして丁寧に巻かれた紙が入っていた。

箱の中身が気になり開けてみるが、中は空っぽだ。

次に絵画を取り出してみる。

「これ、肖像画?」

描かれていたのは歳老いた貴婦人。

「綺麗な絵…」

技法においても芸術性においても、自分が描くものとは比べものにならない。

「何見てるの?」

ティアナが絵画の繊細さに圧倒されていると、一階で掃除をサボっていたアンドラスがやって来た。

掃除はしたくないが、ティアナには構いたい。

アンドラスは少女が持っている絵を一緒に眺めた。