「あ、悪魔!?」

思わず声に出した時、斜め前にいた仲間が襲われた。


「ぎゃあああ!!!!」


白い悪魔は瞬時に息の根を止めていく。

自分にはどうすることもできないと悟った彼は、まだ生きている兵士に向かって命じた。



「逃げろーーー!!!!!!!!」



人間相手なら騎士の誇りにかけて、こんな命令は絶対にしない。

しかし今目の前にいる敵は、異形の存在だ。

年寄りでもないのに白い髪に、どこの地方でも見たことのない純白の衣服を着た、巨大な長剣を軽々と扱う細身の男。


(戦って勝てる見込みもない!)

やっと戻って来たのにこんなところで命を落としては意味がないのだ。

ライナルトは兵士が道なりに逃げていくのを確認してから殿を務めた。


「待て!!」


凄まじい速さで追ってくる白き破壊者。

ライナルトは全力疾走で馬を駆る。

恐怖と緊張が背筋を走り、知らず冷や汗が浮かんだ。

(まだ追いつかれない!)

逃げ切れると思った時だった。

後ろばかり気にしていた彼は、前方の道が曲がっていることに気づかず、大きく道を逸れてしまった。