「じゃあ行こう?」

シルヴェスターに行ってきますをしてとことこと表へ出るティアナ。

アンドラスも後に続いた。



 山上の教会に辿り着き、中に入る。

アンドラスは嫌々ながらもティアナと共に教会内へと進んだ。

「お祈りするから、ちょっと待っててね」

ティアナは前の方の席に座って黙祷を始める。

神に祈る気など全くないアンドラスは、教会の中を忌ま忌ましげに見つめながらうろうろと歩き回っていた。

「ん…?」

ふと、目に止まった祭壇脇の扉。

(これは…?)

興味を引かれて古めかしい木の扉に手をかける。

ギィという軋んだ音と共に内側へ開かれた扉の先には、小さな部屋があった。

しかし、その部屋は縦長の窓から太陽の光が差し込んでいるだけで、何もなかった。

静けさに惹かれ、中に入る。

「あ…」

上を見上げ、彼は唯一この部屋に飾られたものを見つけた。

「イエス・キリストのイコン…」

イコンとはキリストやマリアや聖人などを描いた絵のことだ。