亮佑は先に見つけていたようで、
ほっとしたような顔をしていた。
なるほど、それであの二人の許を
離れてこちらに合流したのか、と
ナツは合点がいった。
菜々子は気にする風でもなく、
中庭に設けられた簡易なステージに
キラキラした視線を送る。
吹奏楽部が半円状に並び、
その脇には少し派手な化粧をした
女子生徒たちが、コスプレなのか
フリルが沢山使われている衣装に
身を包んでいた。
「皆様、大変お待たせいたしました」
ラッパを手にした女子生徒が
デコったマイクでしゃべりだす。
「只今より、吹奏楽部withカズマーズによる
スペシャルステージを行います。
皆さんの知っている曲もたくさん出てくるので
どうか手拍子をお願いします!」
さらにマイクは、脇にいた
コスプレ集団に渡される。
「カズマーズによる、
かっこよくて可愛いダンスにもご注目下さい!」
なるほど、あれがカズマーズか。
亮佑は先程から頭を捻って
カズマという名前の人物を思い出そうと
しているのだが、やはり思い出せない。
一同が立ち上がり、揃って頭を下げると
観客から一斉に拍手が沸き起こった。