ナツと菜々子と亮佑が合流したころ
校内アナウンスが鳴った。
『本日は○△高校文化祭に
ご来場いただきまして、
誠にありがとうございます。
只今より、中庭の特設ステージにて
吹奏楽部withカズマーズによる
演奏会を行います。
皆様、是非中庭にご注目下さい!』
カズマーズ…?
亮佑は首を傾げる。
カズマ…カズマ…
どこかで聞き覚えのある名前だが
ぴんと来ない。
「せっかくだから見に行きましょうよ!」
やはり、というか
菜々子がそう言ったので、
中庭が見える窓際に移動した。
あまり広いとは言えない中庭に、
すでに沢山の人が集まっている。
ナツが目を配らせると、自分たちと
正反対の方向に直之と円香が見えた。
「おや、まぁ」
思わず声が出る。
直之と円香が手を繋ぎ
談笑しているではないか。
「どうしたの?」
菜々子が声に反応して、
ナツの視線の先を追う。
ナツは慌てて視線を外し、
なんでもないと笑って誤魔化した。