お茶が配られ、しばらく談笑していると
居間の縁側から、物凄い勢いで
少女が飛び込んで来た。
「亮佑ーー!」
夏より少し髪が伸びてはいるが、
あの時と何も変わらない笑顔と
テンションの円香が、
縁側から中に入って来て、
流れで亮佑に抱き着いた。
「おぉ、円香。久しぶっ…!」
「キャー!本物だぁー!
久しぶりだねぇ、亮佑ぇ!」
そして、そのまま押し倒す。
「まっ、円香!再会が嬉しいのは
十分分かったから!離れろって!」
「えーっ、もぉ終わり?」
頬擦りまで始まりそうな勢いの円香を
亮佑は慣れた手つきで引きはがした。
隣の直之、向かい側の早苗から
かなりキツめの視線が突き刺さる。
「ぁ、直之も久しぶり」
円香は直之にそれだけ言って、
亮佑の隣を陣取ってニコニコする。
早苗から冷ややかな視線を浴びながら
亮佑は引き攣った笑顔で母に
円香を紹介した。
「亮ちゃん、モっテモテねぇ!
さすがあたしの息子」
菜々子はケラケラ笑ってお茶を啜った。