まず目をひいたのは、腰まで届きそうな長い髪。
くせのない髪が、風が吹くたびにさらさらと流れる。

白い小さな顔に、大きな瞳と薄い唇。
地味すぎる顔立ちは、美人と呼ぶには華がない。


好く見れば、俯いた彼女の周囲にはぽっかり、無人の空間ができていた。

もちろん、ただの偶然。

でも大樹には、それは彼女が誰かが近付くのを拒んでいるせいに思えた。

下手に近寄ったら、ものすごい目で睨まれそうな気がする。

性格がきついからではなく、気の弱さの裏返しの、ひりひりするような視線で。

―そんなの、気の強い女よりも扱いにくい。