梅雨の隙間の晴れの日。
少しだけ湿り気をおびた、気持ちの好い風が吹く。
旧体育館の裏手、芝生に置かれた野晒しのベンチが、文佳のお気に入りの場所だ。
今日もせっかくの晴れ間を味わうため、カフェテリアのサンドイッチと紙パックのオレンジジュースを手に、ベンチを陣取る。
目の前の景色は、学生が行き来するばかりで面白みはなし。
でも頭の上には大きな木が枝を延ばしていて、腕や足に優しい陰を落としてくれた。
深く息を吸い込み、空を仰ぐ。
重なり会う木の葉がふり零す光に、目を細めた。
「お嬢さん、お嬢さん」
背もたれに頭を預けたままで、そんなふざけた呼び声を聞く。
「お隣り、よろしいですか?」
少しバランスの悪い、足音。
ちらり、と盗み見れば、大袈裟な絆創膏をこめかみに貼った顔。
「お好きにどうぞ」
文佳のすました答えに、くしゃりと高遠が笑った。
少しだけ湿り気をおびた、気持ちの好い風が吹く。
旧体育館の裏手、芝生に置かれた野晒しのベンチが、文佳のお気に入りの場所だ。
今日もせっかくの晴れ間を味わうため、カフェテリアのサンドイッチと紙パックのオレンジジュースを手に、ベンチを陣取る。
目の前の景色は、学生が行き来するばかりで面白みはなし。
でも頭の上には大きな木が枝を延ばしていて、腕や足に優しい陰を落としてくれた。
深く息を吸い込み、空を仰ぐ。
重なり会う木の葉がふり零す光に、目を細めた。
「お嬢さん、お嬢さん」
背もたれに頭を預けたままで、そんなふざけた呼び声を聞く。
「お隣り、よろしいですか?」
少しバランスの悪い、足音。
ちらり、と盗み見れば、大袈裟な絆創膏をこめかみに貼った顔。
「お好きにどうぞ」
文佳のすました答えに、くしゃりと高遠が笑った。