どこに行くとも云わないで、高遠は駅へ歩いていく。
ポケットに手を突っ込んで、時折振り返って丸い視線を合わせる。
それでかろうじて、文佳に怒っているわけではないとわかる。
嘘の後ろめたさを抱えた文佳には、ほっとする笑みだ。
でも、高遠の目的はわからないまま。
駅の改札で、さすがに文佳は高遠を呼び止めた。
「どこに行くの?」
「スイカ、持っている?」
思わずうなずいたが、これではQ&Aになっていない。
もう一度声をあげようとしたらすでに、高遠の背中は改札のなかだった。
「ちょっと!」
慌ててバッグから定期入れを引きずり出し、後を追う。
丁度ホームに滑り込んできた電車に、慌ててふたりで乗り込んだ。
線路が覗ける窓ぎわの立ち位置を確保して初めて、自分がいつもの帰宅路線に乗っていることに気付く。
「本当に、どこに行くつもりなの?」
不審と不機嫌が半分ずつ。
眉をひそめて訊いた文佳に、高遠はいたずらぽく片目をつむった。
「AとB、ふたつプランがあるんだけど」
ポケットに手を突っ込んで、時折振り返って丸い視線を合わせる。
それでかろうじて、文佳に怒っているわけではないとわかる。
嘘の後ろめたさを抱えた文佳には、ほっとする笑みだ。
でも、高遠の目的はわからないまま。
駅の改札で、さすがに文佳は高遠を呼び止めた。
「どこに行くの?」
「スイカ、持っている?」
思わずうなずいたが、これではQ&Aになっていない。
もう一度声をあげようとしたらすでに、高遠の背中は改札のなかだった。
「ちょっと!」
慌ててバッグから定期入れを引きずり出し、後を追う。
丁度ホームに滑り込んできた電車に、慌ててふたりで乗り込んだ。
線路が覗ける窓ぎわの立ち位置を確保して初めて、自分がいつもの帰宅路線に乗っていることに気付く。
「本当に、どこに行くつもりなの?」
不審と不機嫌が半分ずつ。
眉をひそめて訊いた文佳に、高遠はいたずらぽく片目をつむった。
「AとB、ふたつプランがあるんだけど」