羽海はあの日以上にバカでかい声を出した。

「は?俺はお前を心配して…」

「心配なんか要らない!!!!!」

羽海がさらに声を張り上げた。

「…………わかった。じゃあ、俺はもうお前に関わらないし、口も聞かない。」

「……別れる…って…事…?」

「そうだ。」

俺は分かったんだ。羽海を縛りつけていたのは俺自身なんだって。
偉そうに『守る』とか言って一番羽海を傷つけていたのは俺なんだ。

だから、もう羽海とは関わらない。
そしたら、羽海が幸せになれる。
羽海が幸せだと、俺も幸せだ。

「じゃあな。」

俺は羽海を置いて一人ですたすたと歩いていく。
丁度その時、雨が降ってきた。

「今日は最悪だな…ハハ…。」

気づけば、目から何かが落ちた。

…男でもこういう時は、泣くんだな…。
なんか女々し。

俺は涙を拭いながら走って行こうとしたその時、

「海、待って!!!!!」

羽海に呼び止められた。