沈黙になる教室。
飛び交う言葉は、なにもない。
文句を言う人もだれもいない。
私の辛さももうない。
絢斗くん、どうして、そんなに
私の不安を取り除くのが上手いの?
私ね、幸せ一杯味わせてもらってるよ。
いいのかな。私ばっかりで、いいのかな?
そんなことを考えて、教室に入って
嫌でもすぐに目につく二人。
あたしの席から右ななめ2つ前の席。
美男美女の二人が私たちを見てる。
それも、とてつもなく絶望したような
悲しみでいっぱいの顔で。
「…おめでとう」
実花、どうしてそんなに泣きそうな声で
苦しそうに言うの?
「よ、よかったなあ!」
ねえ、優磨くん、どうしてそんなに
焦って動揺してるような声で言うの?
私、なにか悪いことした?