そう言って、ついたのは
私の家の近くにある<さくら公園>。

二人でベンチに腰をかけた。

さくら公園は、小さい公園なんだけど、
辺り一面桜が植えてあって、
有名な告白スポットや、デートスポットに
なっていて、私もいつかここでデートしたいなって
憧れている場所でもあった。

「私ね、ここすごく好きなんだ!
いつか、ここで彼氏とお花見したいの!」

「うん、知ってるよ。」

「…あれ?前にも言ったけ?」

「ううん。」

「そう?でも、本当に綺麗だよねー!」

「うん。けど、由美の方が綺麗だよ。」

なんだか、絢斗くんが、いつもの
絢斗くんじゃ、ないような感じがして
急に絢斗くんが恐くなった。

「…そんなわけ、ないじゃん!
もう、冗談やめてよー!」

「冗談じゃないよ。真剣に思ってるよ。」

この空気をどうにかしたかった。
この変な雰囲気を壊したくて
おちゃらけて見たのに、絢斗くんの顔が
本気で何にも言えなくなってしまった。

「由美?俺ね、入学したときに
一目惚れした女の子がいるんだ。
その子、校庭に咲いている桜の木の横に
たって、桜の花びらを必死に捕まえてて
最初は、何してるんだって思った。
高校生にも、なって子供みてぇ。って。
でも、桜の花びらをキャッチした後の
満面な笑顔を見て、目が離せなくなった。
パタパタ走っていって、
『実花ちゃーん!見てー!桜の花びら!』
なんて話す由美が可愛くて仕方ないんだ。」