いつもの場所というのは屋上の事で。僕のサボりの場所。
ドアを開けて外に出れば、少しだけ強くて冷たい風が体を吹き抜ける。
基本的に厚着が嫌いな僕は、寒さなど気にする事もなく定位置である屋上周りのフェンスに登って腰掛ける。
いつ見ても綺麗な街の景色に、いつものように目を奪われる。


ボーッと街を眺めていると、ある病院が目にとまる。
大きな病院。僕の、よく知っている。


『貴方の命は…』


僕の…命の短さを告げられた病院だ。





去年の冬だった。
高校一年だった僕に、ソレは襲いかかった。

ある体育の時間。その日は自由時間で、皆でバスケをすることになった。
参加するつもりはなかったが、数合わせで強制的に参加になり、騒ぎながらプレイする皆の中で地味にプレイしていた。
運動神経はいい方なため、それなりに皆に合わせながらボールを追っていると

「……っ!」

不意に胸に痛みを感じて顔を歪ませる。
胸が痛くなるなんて、その辺の人でもよくあることだとしか思っていなかった僕は、クラスメイトから心配されても面倒だと思い、痛みなど気にせずにバスケを続けた。
だが、いつまでたっても痛みが消えない。
それどころか、痛みが少しずつ増している気がする。

「……?相楽さん、大丈夫?」

どうやら顔色が悪くなっていたらしく、それに気づいた生徒が心配そうに僕の顔を覗き込んだ。

「平気だ。気にしないでくれ。」

正直平気とは言えない痛みになってはいたが、世話になりたくない。
よほど顔色が悪く見えるのか不安げな眼差しを向けてくるが、構うな、という意志が伝わったのか、生徒は僕から離れて行った