10時40分 キャンプ場の案内所



「ようこそおいでくださいました。私はここの管理人の渡辺(わたべ)です。何かありましたら私に言ってください」

渡辺は修介にバンガローの鍵を渡した。

「じゃあ楽しんでおいで」

渡辺は人の良さそうな笑顔で友也たちを見送った。





「渡辺さんって優しそうだなー」

「そうだな。六十歳越えてるらしいけど足腰もしっかりしてた。今でも何かスポーツしてるのかな」

友也の呟きに修介は自分の感想も添えて答えた。

「どれが泊まる家?」

友也が彩の持っていたパンフレットに顔を伸ばす。

「見にくいからっ。えーっと……」

彩は友也から離れるように体を回転させて、パンフレットと周りを見比べる。ちょっとして見つけたと思ったとき、

「多分あれだよ」

紫音が一つのコテージを細い人差し指で指していた。