修介は鈍器で頭を殴られたような衝撃を感じ、まばたきを何度も繰り返す。

「うーん……」

何か答えなければいけないと思うのに、言葉が何も浮かばなかった。

友也は乾いた笑い声をあげた。これも友也らしくない。

「ハハ、分かってるよ。ほんとは。そんなことはいちいち人に教えて貰うことじゃないってくらい。聞いてみただけ」

ニッ、と愛らしいとしか言い様のない笑顔を作った。

友也は立ち上がり屋根の下を出て、眩しすぎる太陽の下で天をあおいだ。

修介はそのとき、友也の口が動いたのを見た。でも蝉の声がうるさすぎて、少し距離が空いてしまうだけで声が届かない。

何と言ったかを聞く気にもなれず、修介は友也を見ていることしか出来ない。

太陽にアスファルトが熱され遠くがぼやけて見えた。

手を降ろした友也は振り返り、口を開く。

「そういや早く持って帰らないと、肉とか腐っちゃうよ」