長い長い坂道の途中にあった休憩所は小さかったが屋根も付いていて、一休みする分にはなんの問題もなかった。

友也と修介はベンチの両端に腰掛け体を休める。

友也は自分のTシャツの端をギュッと絞った。

「ほら。汗が絞れるよ」

「そうだな」

修介は前を向いたまま気のない返事をする。

日陰で太陽が当たらないだけでいくらかは涼しいはずなのに、蝉の大合唱を聞いているとそれが気のせいに感じてしまう。

「シュウちゃん」

「なんだよ。いきなり昔の呼び方で」

修介は横目で友也を見た。友也はいつものおちゃらけた感じではなく、大人っぽいような雰囲気があり、修介は目をそらした。

友也はそんな修介の様子に気づかず、

「まあまあ。……一個聞きたいことあるんだけどさ」

「……なんだ?」



「好き……。好きになるってどんな気持ち?」



友也はぼんやりと前を見ながら少し寂しそうな顔をした。