「…………」

「どうかした?」

紫音は黙って見つめる彩に声をかけた。彩の顔にはどこか影が潜んでいるような、何かの決意をしたような顔だった。

彩は数回呼吸を繰り返して口を開いた。



「終業式の帰り道……。友也に遮られて言えなかったやつ。あれ、私が何を言いたかったか知りたい?」



彩は真っ直ぐ紫音と目を合わせた。

紫音は戸惑いながらも僅かに首を縦に振った。

そう……、と彩は呟いた。呟いて、今度は大きく一回息を吸う。

「紫音。紫音ってさ、やっぱり────」