11時29分 バンガローの中



「とりあえず荷物の整理しますか」

彩は自分の腿を軽く叩いて手近な荷物に手を伸ばした。

「外暑いよね」

「そりゃあ夏だし」

「そうだよね」

紫音はプラスチックの食器が入ったケースを見つけ、キッチンに持っていく。

他にも歯ブラシやタオル、遊ぶ用のトランプなどがあちらこちらに入っていて、かなり手間がかかった。



「よし。まあこれくらいで良いでしょ」

彩は手を組んで思いきり伸びをした。

「ふぁ」

「ん。紫音が欠伸なんて珍しいね」

「昨日はなかなか寝れなくて」

紫音は少し恥ずかしそうに顔を俯け、

「今日がほんとに楽しみだったから」