真上から注がれる太陽の光は肌を焦がしてしまいそうな程に強い。

癇癪のような蝉の声ももう聞き慣れてきた、終業式を終えた帰り道。誰もが明日から始まる夏休みの想像をして期待に胸を膨らませる。時々落ち込んだ人を見るのは、通知表や補習のせいかも知れない。



「ねぇ紫音」

彩はほとんど何も入っていない学生鞄を肩にかけ直して、

「紫音ってさ、やっぱり……」

「おーい! 紫音、彩ー!」

彩の声を遮った中性的な、言い方を変えれば声変わりする前の男の子のような声が、足音ともに近づいてきた。

「はー……。うるさいなあ。なに」

走ってきた背の低い男子に、彩は冷たく声をかけた。紫音はそんな彩と彼を見てくすくすと笑った。