聞き慣れた声。 私の好きな声。 その声に、深い悲しみがあることを、知ってしまった。 「せんぱ、いっ……!?」 ふいに目の前が真っ暗になる。 なぜか、温もりを感じる。 そして今、先輩に抱きしめられているということに、やっと気付いた。 「せんぱい、先輩……っ」 「泣かないで…」 先輩、なんで? なんで、今、私を…? 「―諒から聞いたよ。 俺は…俺は、大丈夫だから。 もう大丈夫だから。 だから……泣かないで」