咲が引っ越すと聞いたとき、幼いながらも私は、その意味を必死に考えた。


――さきちゃんと、もうあえないの?

――さきちゃんは、とおいところへいくの?



そして今。
あの頃に比べれば、咲も私もだいぶ成長した。

嬉しい、楽しいことばかりだけでなく
嫌なこと、黒い感情も、覚えた。




それなのに咲は
そんな、人の醜い部分を、表に出さない。




昔から、変わっていないと思った。


一番に誰かのことを考えて
心からその人を笑顔にしようとする。

自然と咲の周りには、人が集まるのだろうな。
そう思えるほど、咲は優しかった。








そんな咲に比べて



私は…







だめだなぁ、ほんとうに。