〔杏里Side〕



「いや、いいよ」



優斗さんは、あたしの手を離して、違う方向を向いてしまう。


なんで?



手を離されただけ。



だけど、なんかすごくショックで。



あたし、今日は頑張るって決めたのに。



シュンとしちゃう自分がいる。


でも…


優里花さんは応援してくれてる。



友美は、ちゃんと頑張った。



なら、あたしだって。



周りにながされてる訳じゃない。



あたし自身、優斗さんともっと近付きたいって、思ってる。



前は、きっと怖かった。



でも、大翔の誤解が解けたこと。



あたしももう怖がらなくていいこと。



友美の妊娠。



優斗さんの過去。



全てを知った上で、あたしは優斗さんとの距離を無くしたい。



彼と共になりたい。



これが"重い"。


そう言われたとしても、前のようには止められない。



ねぇ。



優斗さん。




あたしの気持ち、



受け取ってくれますか?



あたしはそっと手を伸ばし、



彼の背中からお腹へと手を回し、後ろからゆっくりと抱き着いた。




「優斗さん、



だいすきです…」