二人は、泣いたまま、いつの間にか眠っていた。
眠っていても、手は繋がれたまま。
そんな安らかな時間が………
「やっと見つけたー!!
起きろー!!!」
………壊れた。
しょぼつく目を開くと、そこには大翔先生の姿。
汗だくで、息も切らしている。
…何があった。
回転しない頭で、そんな事を考えていると、あたし達は、腕を引っ張られた。
「えっ!?」
「ちょっ?!」
目を見開くあたし達には、目も触れず、そのまま走り出す。
意味が分からないまま連れて来られたのは、
「校長室…?」
友美はポカンとして、その表示を見る。
「佐藤、お前今大変な状況なんだぞ」
真剣な彼の表情を見て、思い出した。
………あ。
ラブホの件…。
だんだん顔が引き攣るのが分かる。
でも、入らないわけにはいかなくて。
あたし達は、校長室へ足を踏み入れた。
「やっと来たのね」
回転式の椅子から下りるのは、校長にしては、やけに若い
土方 美奈子校長。
スピード出世をした彼女が、エリート校である、うちの学校に入るのはおかしいって、デモが起きたらしいけど。
若いからこその発想で、就任した途端、人気が出たらしい。
ちゃんとした年齢は知らないけど、多分30代、しかも前半にも見える。