そのあと、撮影が再開し、あたしは控え室に一人残る。
頭の中は、友美のことでいっぱいだった。
今どうしてるかな、とか、落ち込んでるかな、とか。
テーブルに、頭を乗せ、ただジーッと考える。
そのうち、だんだん瞼が落ちてきて、そのまま夢へと飛んだ。
どのくらい寝ていたのか、不意に携帯のバイブで目が覚めた。
完全には働かない思考の中、携帯を開くと、そこには
佐藤友美
の文字。
あたしは、慌てて電話に出た。
「もしもし、友美?!
大丈夫!?」
「うん、なんとかね。
杏里も倒れたんでしょ?
大丈夫??」
いつも通りの友美の声に安心する。
「大丈夫だよ。
ちょっと熱こじらせたらしい」
「そっかー。とりあえず安心?
友も明日退院だし」
「え、そうなの?」
意外と早い復活に、嬉しくなる。
「うん。だから、来週から学校行くね」
「うん、その時ちゃんと話聞くから」
そう言って切った電話。
ひとまず、安心のため息をついた、杏里であった。