入院は1日で済ませることが出来た。
「杏里ちゃん、私いつでも話聞くからね?」
たった1日の付き合いだったけど、あたしと看護師さんは、仲良くなれることができた。
そして、今は優斗さんの車の中。
「わりぃな。
ちょっと仕事がヤバいから、撮影場所行っていい?」
忙しい優斗さんが、迎えに来てくれただけで、あたしは幸せなわけで。
ダメな理由もない。
「全然平気。
むしろ、ごめんね?」
と、現場へと向かった。
現場は、へんな緊張感があって。
さすが、シリアスなドラマを撮ってるだけある。
そのまま足を進めると、中島蓮くんの姿が見えた。
どうやら休憩中らしいので、お茶を持って近付く。
「あの、この間はどうも」
急に話し掛けたにも関わらず、笑顔で振り向く彼。
さすが、アイドル。
「杏里ちゃーん!
この間はビックリしたよー!
てゆーか、熱大丈夫?」
額に触れようとする手から、さりげなく引く。
「はい。なんか、ご心配おかけして、すいません…
それで、友美は…」
すると、彼は眉を下げる。
「まだ、入院中。
体調が優れなくて。
ほんと、悪いことしちゃったよ」
しょんぼりとする彼に、アタフタしてしまう。
どういう言葉をかければいいのか。
あたしには、ボキャブラリーが足りない。