あたしは、どう反応したら良いのか、分からなくなってしまった。
下ろせって、中絶ってことだよね?
「まぁ、仕方ないのは分かってるんだ。
蓮くん、凄い謝ってくれたし。
友が今出産したら、とてもじゃないけど、友の負担が大きすぎるって。
費用は出すから、今回はって…」
そこで泣き出した彼女の肩を、あたしがそっと抱く。
「もとはと言えば、あたしが悪いの…。
いつもピル飲んでたのに、1回だけ忘れちゃって…
蓮くんにも迷惑かけちゃった…。
……この子にも」
確かに、友美にも非はある。
でも、それは中島蓮くんも一緒。
浅はかな気持ちで、そういう行為をしたのに、彼女に下ろせと言うだけ。
いくら謝ったとしても、責任をとるべきなんじゃ…。
そうは思ったが、今は友美がこれ以上傷付けないために、口をつむんだ。
「友美…、」
今日はただ、友美を抱きしめるだけにしておこう。
そう思った。
「明日下ろしてくるから…」
ボソッと呟く彼女の肩を、ギュッ抱く。
「…大丈夫?
明日、あたしも行こうか?」
「……平気。
蓮くんが行ってくれる予定だから」
あたしは、ただ不安いっぱいの彼女の身体を強く抱きしめた。