階段を駆け上がり、少し重い扉を開ける。
すると、一気に風が吹き込み、目の前には夕焼けが広がった。
ここは、学校の屋上。
やっぱり、友美って言ったら学校。
とくに屋上が好きなのを、あたしは忘れていた。
足を進めると、入り口からは視角になる屋上の隅に、彼女の姿を発見した。
彼女は、体育座りした膝に、顔を押し付けている。
おかげで、彼女の表情は分からない。
「友美…」
あたしはゆっくり近寄り、そっと抱きしめた。
すると、彼女はビクッと身体を揺らし、そしてゆっくりと顔を上げた。
「杏里…?」
今日初めてみる彼女の顔は、目を泣き腫らし、顔も全体的に腫れている。
その姿が痛々しくて…。
そっと目に触れた。
まだ熱がある…。
どんだけ、泣いたんだろう…?
その原因が、あたしなのか、それとも…中島蓮くんなのか…。
「杏里…、どうして……」
「ごめんね?
あたし昨日、あんな事言って。顔殴って……痛かったよね?」
そっとその場所を触れると、彼女が顔を歪めた。
相当痛いんだ…。
「本当にごめん」
頭を下げると、その頭を彼女はナデナデとしてくれた。
「大丈夫だよ。
友も、今まで黙ってたし…」
ニコッと笑う友美は、いつもより弱々しくて。
あたしはその身体を、強く抱きしめた。