私と麻上の、違い。


考えを巡らせたけど、時間が過ぎるばかりで言葉もまとまらない。

とりあえず、聞いているばかりより、自分から話したほうが頭の整理もつくと踏んだ私はぽつぽつ言葉を吐きだすことにした。


「椎名は……認められた術だけ使うけど、麻上は禁術を生み出しちゃったとか…?」

「…うん。正解」

「病院で、言ってたもんね神崎くん」


でもなんで、禁術なんて。

確かに禁術や呪術など、代償の大きいもので作られた霊符なんかはとんでもない力を秘めている。


だけどそれは自分の身も滅ぼしかねない、もろ刃の剣だ。

術者ならそれを一番よくわかっているのは麻上自身じゃなかったのか。



「そう。それでも麻上は許せなかったんだ。……これを見て」


「? なに…?」


おもむろに差し出されたのは色あせた表紙の古本だった。


捲ると埃っぽい匂いがしたけど構わず目を通す。

小難しそうな内容を想定していたが、どうやら違ったようで。


墨で書かれたほんの少し歪な絵と字。



「絵本…?」


神崎くんは頷く。



「壽二さんの書庫から借りたものだ。誰が書いたのかわからないけど、四家の抗争について……一番よく描かれていると思うから」


「!」