からかいを含めた色で囁くと余計顔を朱く染めた椎名さんは、両手で頬を覆ってしまった。


「ずるいよ……それはズルい」

「なにがずるいの? 思ったことを言っただけなんだけど」

ねえ、顔を見せてとやんわり腕を掴むと弱々しく首を振るのだから、愛しくて堪らない。
緩む頬が抑えられなくてどうしよう。


ややあって顔を上げた椎名さんの顔はやっぱり、まだちょっぴり朱かったけれど、放った声に揺らぎはなかった。


「言霊はきっと叶うよ。私がみんなの分まで叶えるから」


ほんの少しだけ潤んだ蜂蜜色の目は日の輪みたいで。


あぁ、この光に俺はこれから先何度救われるんだろう。何度、救われてきたんだろう。
そしてきっと、なにも救われるのは俺だけじゃないはず。


人も妖も、神すらもきっとこの光に縋るんだろう。


人間風情には到底抗えない─この街を苛む闇を打ち砕けるのは、彼女だけ。


だからこの輝きを失わないように。

俺は絶対に、このひとの笑顔を翳らせる存在を許すわけにはいかないんだ。




「…あーのー……いちゃつくのは構わねえんだけど俺たちのこと忘れてねえ?」

「……きらきらすぎて目が痛い」



「!」
「!」


すみません。兄さんたち。