「おれは神様とか妖怪とか…そういうのよくわかんないけど。サチが…」
「うん。言わなくてもいい。聞こえてるから」
わかるよ。幸せそうに、彼女は笑った。
「ぼくも大好き。大好きだよ、二人とも」
サチの手に触れる。淡い光に包まれて、ばらばら。彼女は空へのぼっていった。
サチは疲れて、ちょっと眠っただけだ。だからまたいつか会える。
「う、っ─あああ」
涙がひとりでに零れる。後ろから、もう一つすすり泣く声がした。
ばか姉め、心の中で毒づく。つられてかさをました涙に堪えきれず、声を上げて泣き崩れた。
姉ちゃんはなにも言わず、おれの手を握ってくれる。
「…見てみろ」