「サチ。降りれる?」


できるなら顔を見たい、と続ける。本当は怪我なんかしていない。



多分、消えていく自分の姿を見られるのがイヤでうそをついた。



暫くの間をおいて、ふわりと彼女は降りてきた。やっぱり、肩や膝、関節の部分や指先が薄っすらと透けている。



「ぼくのホントの姿は、この木そのもの」



サチは、細くて白い指で木を示した。うんと頷く。



「ずっとここから、君を見てた。毎日楽しそうに笑って、きらきらしてて眩しくて…叶うならこうして、話をしてみたかった」


柔らかく、サチは微笑んだ。