耳をそこに当てて澄ますと、不思議。君の声が聞えてくるんだ。 温かい優しい声で「生きて」という声がする。 ぼくは君のことが大好きだよ。 ありきたりな言葉ばかりで申し訳ないけど、それでも君にお礼が言いたい。 ------------------------- 【杏子side】 「あの妖は遅かれ早かれ消える」 「…」 自分の部屋に、海斗と私と、それから師匠。 「うん、分かってるよ」 海斗は頷いて切なそうに笑った。