「っ─」


言葉に詰まる。今まで気にもしなかったいくつもの疑問がふつふつと頭に浮かび上がった。


「な…なんでそんなこと訊くんだよ?」

「なんとなく、かな」

「どうしたんだよサチ。今日なんだか変だぞ」


「ええ?そんなこと、ないよ」


くすくす降る囁き声が綺麗すぎることは知っていた。


「それにぼくはいっつも変だよ。今日に限ったことじゃない。実を言うと、カイトも変なんだよ。気づいてた?ぼくなんかに構ったりして」


「なっ…おれはまともだぞ。ちゃんと友達もいるし、サチがいっつも一人なのがいけないんだろ」


「あはは!そりゃそうだ」


けして険悪な雰囲気ではなく、優しいじゃれ合いみたいな言い合いだ。心地いい。ふと、木の幹に四つ葉の模様が刻まれているのが目に入った。


人工的につくったものではなく、自然についた…あるいは浮かび上がって来たみたいな。気をつけて見なければ、分からない程小さな模様。


「カイト、ぼくはね─」

「サチ、あのなっ」


言葉が重なった。思わず2人で吹き出す。