【杏子side】


「あの子可愛かったけど、どこか不思議な子だったね」


満腹になったおなかをさする。食後とはいえぽっこりしたお腹に若干の焦りが生まれる。最近どうも食べ過ぎちゃうな。夏バテ知らずな丈夫な体は結構だが女子として些かどうなのか…


すると、呆れたように師匠のため息。うわ、春よりちょっと太ったことばれたかな。


「お前まで気付かないのか。杏子」

「え、何が?」


「あいつは人間ではない。妖だ」



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【海斗side】


「じゃあなー」


友達と別れ、いつもの木に駆け寄った。ああ今日はなんの話をしよう。


「サチ、おーい。どこ?」


いつもなら呼ばずともぱっと出てくるのに、今日は姿が見当たらない。

数度名を呼ぶと、真白いワンピースが風にはためいた。