窓から曇天へ飛び立った白い軌跡を布団の上からただずっと眺めていた。



眺めているうち、雨を降らすねずみ色だった空はすっかり晴れ、この時期には似つかわしくない青空になった。


─よかった、晴れて。



「あ。虹」



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暫くして帰って来た師匠たち。もう動かなくなった千歳さんを、桔梗と共にベッドへ横たえた。


すべてに満足した、晴れやかな顔つきだった。



いつか迎える最期を夢見るため、私たちが来ようが来まいがどちらにせよここを抜け出すつもりだった千歳さんは、すでに遺書を用意していたらしい。


事件性を疑われては大ごとだ。自ら点滴を抜いたこと、自分の手で命を絶ったことにしてくれ、とそれが桔梗が聞いた彼の最期の言葉だったという。



死に場所くらい、自分で選びたかった─だけどここで俺が死んだことは、4人だけの秘密。


そう、透明に笑う彼の顔が簡単に想像できて息が詰まった。