看護婦に部屋番を聞き、病室の手前に着くと確かに【作間 千歳様】という名前が合った。


息を吸い込んで整える。



「私のことを、覚えているだろうか」


「…きっと」



不安そうに桔梗の目は揺れていた。



手ぶらで来てしまったことに罪悪感を覚え、何か手土産でも狩って来るべきだったと今更後悔する。



でも、もうどっちにしろ後には引けないんだ。