住所を書かれた紙を 受け取り、礼を言って、お辞儀をする。


「千歳君と知り合い?すごいな、どこで知り合ったんだい?」


「え?あ、えと…」


困って桔梗に目をやると、頷いて彼女は話し出す。


「町で困っている私に声をかけてくれました。とても優しい人でぜひもう一度お礼が言いたく」


「へえ…じゃあ回復したのかな。病室から出れないくらい、あちこち悪かったって聞いてたんだけど」


怪訝そうにしたおじさんは、それでも桔梗に笑いかけた。



「親戚なのに疎遠にしちゃって申し訳ないんだけどさ…昔は優しくて穏やかな子だったんだけど、つらい現実すぎて受け止められないのかね…だんだん変わっていってさ、性格も態度も。会うのがつらくなってね。弱る姿もそうだし、何より変わっていく彼を見てられなかった」


この人はきっと、根がすごく優しいんだろう。少しだけ心が痛んだ。



「でも彼にも、君みたいな友人も居たんだね。安心したよ。千歳君を頼むよ」