一軒一軒、家を回った。桔梗もこの町の人々に手当たり次第声をかけたようだが、どれも不発だったという。
探し始めて二時間は経っただろうか。ダメもとで交番に訊ねると思ってもみない転機がやってきた。
「作間くん?ってあの、作間千歳くんのことかい?もちろん知ってるよ」
警官に話しかけると、偶然そこに居合わせた人の良さそうなおじさんが答えた。ほぼ関わりのないくらいの遠縁だが、親戚なのだという。
「本当ですか?今どちらにお住まいか、ご存知ありませんか?」
「彼なら確か病院だよ。入院してる。この町からは少し遠いけど、住所を教えようか?」
私より先に桔梗が頷く。
「お願いします」