6月のある土曜日。


「あ、珍しく雨降ってない」


と言っても、今にも降ってきそうな曇天。出かけるなら傘は必須かな。



「杏子。朝早くからすまない」


ふわりと花の香りを纏い、桔梗が現れた。


「今日は、がっこう、というところには行かなくて良い日なんだろう?」


「うん」


桔梗は私の横にすとんと座った。


「あいつのことだ。どこへ行ったかようやくわかった。だけど私だけでは力が足りぬ」



頭の中にはてなマークが浮かんだが黙って桔梗の言葉の続きを待った。