強く頷いた。


はずなのに。力が抜け持っていた湯呑を取り落してしまう。


「っ、な」


なに、これ。そのまま視界が大きく曲がって意識が遠ざかる。どうして…!?



「巫女様!?いかがなされました!」


「人の子など信頼できませぬ。忌々しい術など使わずに、霊力のある人の子ひとり捧げれば解呪には十分に御座います」


「お主なにをっ─まさか」



みんなのどよめく声が聞こえるが、それすら遠い。ひとりの翡翠様の手下の妖が、私の湯呑に何かを盛ったようだった。目が閉じていく。手が震える。血の気が引いていくようだった。…だめだ。


ああそんな。私は端から信頼されていなかったのか─


倒れる体を支えたのは師匠だった。かろうじて開けている視界の中、翡翠様はとても傷ついた顔。