暫くし、翡翠様が施呪をうけた泉のほとりへたどり着いた。呪いの余波の影響か、巻物が熱く反応し、幸いすぐに場所が特定できた。
「丈夫そうな枝を使え。あとは方角を間違えないよう、巻物通り地面に陣を書き込め」
頷いて必死にがりがり書き込んだ。土に埋まる小石は術が発動して、万が一跳ねてぶつかったりしたら大変だ。それらを避けながら黙々と描き続け、30分ほど過ぎただろうか。
「いいだろう」
「お、終わった…」
泉のすぐそば、大き目な陣が完成した。遠くから眺めてみる。うん、初めてにしては上出来だと思う。
「少し休んでいろ。先に言っておくが解呪の儀は体力勝負だ。いいか、一発で成功させろ。あれにも負担がかかる」
厳しい言葉だったが、頷いた。大丈夫、きっとうまくやってみせるよ。
師匠は家から翡翠様を連れてくる、と言い残し去って行った。