「昨年の春からな」
「へえ。この子の式神なんでしょう?」
それから白狐と、他愛もない話を続けた。
喋りすぎて、喉が痛くなり「もう喋るな」と言われたけれど、朝になるまで話を続けた。年を取ると話が長引いていけないわ。
春の夜は、短い。
-------------------------
「おはよ…」
「おはよう。…大丈夫?」
寝不足?と神崎くんに尋ねられ、はっとして数回目を擦る。
「いやいや!大丈夫大丈夫」
笑ったものの、実はあまり眠れなかった。
翡翠様と師匠の会話は夢の中でも聞こえ、呪いが私を急かし高みから笑っているようだった。
お前に解くのはむりだ、と。