あ、と思う。彼女は轡(くつわ)を付けられていた。顔の下半分を覆い隠す鉄の轡のせいか、声がこもっている。


「これがある所為で私は歌えないの。外そうとしても外れないし、このまま歌おうとすれば身体に酷い痛みが走るし─」


彼女は目を伏せた。


「お願い、私を助けて」


彼女はあろうことか、土下座した。驚いて絶句する。



顔を上げてくださいと言うとゆっくりと顔を上げ、涙のたまった目が私を捉えた。



「やれることはやってみます。たかが人の子に、土下座なんてしないでください」



宥めると、翡翠姫は頷いた。