「貴女様は妖が見えるのですね。噂では力のお強い巫女様であると…そこでどうか、我々にお力を貸して頂きたいのです」
頼みたいこと?その前に貴方達は一体なにもの…?
「私共は、翡翠様にお仕えしている者で御座います」
「ヒスイさま?」
「西南西の泉に棲む、恵みの雨を降らすと言われている蛙の姫君だな」
「はい」
あっという間に、師匠と彼らの会話に変わってしまった。ていうか蛙だったんだ。どう頑張っても蛙には見えなかったけど…
「何を気難しい顔をしている杏子。翡翠は春先に現れるはずだと聞いていたが、確かに最近見ないな」
「実は─昨年度までは元気で居られたのですが。忌まわしき人間に呪いをかけられてしまいまして」
妖は声を抑えて呟いた。人間が、どうしてそんな。