「なにごとだ」
寝ぼけながらも部屋に現れた師匠にちょっと安堵する。窓に張り付いた妖を見て、師匠は告げた。
「開けて欲しそうにしているぞ。敵意は感じん、開けてやれ」
「うえぇ!?」
少し気が引けたが、私は窓を開けた。
入ってくるなり、ウーパールーパーたちはどろん、と化けていく。もう仮にウーパールーパーと呼ぶことにします。長いのでウーパーで。
顔を薄緑色の布面で覆い隠し、萌黄の着物を纏ったひとたちが沢山部屋にひしめきあう異様な光景だが、頭はけっこう冷静だった。
「杏子様…先程は私を助けてくださりありがとうございました」
ひとりが頭を下げると一斉に、全員がひれ伏していく。