「くそ」


師匠はイラついたように舌を打ち、私を見た。


「杏子。あいつは厄介だ。印を通じて人間の精気を吸い取り妖力をつけておる」


人の力を吸い取って─そこまでして、強くなりたいの?



「─灯雅」


「あぁ!」


目の前が真っ黒に染まる。金属の擦れる音がして、橙色が一閃。灯雅さんの大量の羽が舞う。



「お前の相手は、俺だ」