「そろそろいいだろう、血を混ぜろ」


少し恐かったけど、私はコクリと頷いた。


手が震える。やっぱり怖い。いや…だめだ。迷うな。意を決して近くにあったカミソリで指を切り付けると、指から鮮紅色の血が滴り落ちた。出やすいよう、もう片方の手で指を掴み圧迫した。


「っ」


「…それくらいでいい」


傷がちりちりと痛んだ。すぐさま絆創膏を貼り、さする。


「墨は完成だ。あとは術を書きこむだけだ」


半紙が大きすぎる言うので、適当にまとめて切ってしまった。



巻物を再度見直す。ミミズの這ったような字。今までこんな字、読む手習いなんてしなかったのに、不思議。なんて書いてあるか読める。


「札は使い捨てだから、暇がある時にまとめて作ってしまうといい」


「そうする」