「怖気づいたか?桜子は平気でやっていたぞ。爪も血も、髪もすべて試したと言っていた」
おばあちゃん…どんな思いでやっていたんだろう、考えて心がずきりとする。だめだ、逃げたらダメだよね。
「やる!」
私は中学校まで使っていた習字道具を押入れから引っ張り出す。
「紙って、どういうの?」
「なるべく上質なものがいいだろう」
「・・・じゃ、これでいっか」
高級そうな半紙が余っていた。これでいいかな。
「何を代償にする?」
「…血。血にする」
「賢明な判断だ。それが一番手っ取り早い」
水を浅く張った硯箱の中、硯を削る音だけが響く。
後で血を混ぜるから、あまり水を多く入れすぎるなとのこと。