教室に戻ると神崎くんはいなかった。飛鳥に聞くと、どうやら具合が悪いらしく、HR前に帰ってしまったそうだ。
…大丈夫なのかな。
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「ん」
「師匠?どうしたの?」
帰り道、師匠が鞄から顔を出して辺りを見回した。
「妖の気配がする。ここじゃ面倒だ、家まで急ぐぞ杏子」
「妖・・・」
ズキンと、胸に痛みが走る。
けれど、躊躇してはいられない。
「うんっ」
私は家まで走って帰った。
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「杏子。お前、祓うことは嫌か」
部屋に入って一番に、師匠は私に尋ねてきた。
「・・・あんまり」
「…巻物を開け」